静岡県内140箇所の作業所が加盟する「静岡県作業所連合会・わ」さん主催による「授産製品デザインクリニック」にて、ワークショップの設計、ファシリテーターを担当させて頂きました。
「静岡県作業所連合会・わ」に加盟する作業所(障害のある方の活動を支援する施設)では、障害のある方の社会参加の一つとして、製品を製造しています。また、その製品の販売を通して得られた収益は、施設利用者に工賃として分配され、障害のある方の社会的自立を支援しています。しかし、商品力の低さがもたらす収益性の低さが、工賃の極端な低さの原因の一つとなっており、社会課題の一つとして認識されています。
そんな状況を改善すべく、「授産製品デザインクリニック」という企画が生まれました。
医者のように、デザイナーがそれぞれの製品が持つデザインの問題を診察し解決していくというイメージです。
しかし、いいデザインとは一体なんでしょうか。デザイナーが関われば、たちまち製品の魅力が向上するのでしょうか。デザインで、個別の製品を魅力的にする事は出来るはずです。しかしそれは、カンフル剤としてのデザインです。
魅力的な製品が生まれる仕組みが持続的でなければ、根本的な問題解決にはなりません。
今ある製品へ個別のアドバイスをする事よりも、どのように考えるとよりよいデザインの製品が出来るか?
つまり「デザインを考える視点をお伝えしたい」という事を主眼とし、二部構成のワークショップを設計実施しました。
第一部は、いいデザインとは、何が「いい」のか。つまり、デザインを議論するポイントの検討。
第二部は、そのポイントに沿って、それぞれの製品に関するアドバイス。
ワークショップをとおして、作業所で働くたくさんの方とお話しする事が出来ました。また、参加者同士の会話からも、たくさんの問題が浮き彫りになりました。ワークショップの実施をとおして、魅力的な製品開発を持続的に行なえる仕組みづくりが必要だと、切に感じる会となりました。
2013年度 グッドデザイン賞 受賞。