DATA
2016/04
CLIENT
KISHU+
PROJECT NAME
KISHU+
PHOTO
Masayuki Hayashi
※Except venue and work in progress photos.
LINK
手仕事×機械仕事×デジタル仕事
紀州漆器産地5社が立ち上げた漆器の新しいブランドKISHU+。プロジェクトコンセプトから、プロダクトデザイン、ブランドデザインなど、総合的なデザインディレクションを行った。室町時代から続く紀州漆器は、会津·山中·越前と共に、全国四大漆器産地のひとつである。気軽に使える漆器をめざして、合成うるしや樹脂による生地づくりなど、新たな技術をいち早く取り入れ、その柔軟な姿勢で漆器に新たな風を吹き込んできた。新たな技術の導入は、生産性の向上をもたらし、市場からの需要に大きく応えてきた時代もあったが、徐々に市場の需要も変化、競合となる気軽に使える器は、海外製品をはじめとして低価格かつ飽和状態でもある。そこで、技術に対するリベラルな姿勢を保ちながら、技術と手仕事の融合からしか生まれ得ない価値の創出へと向かう事を提案した。
それは、手仕事の代替ではない。「デジタルによる物づくりを取り入れてみたら何が出来るだろうか?」「機械加工をかけ合わせてみたら何が出来るだろうか?」そんな問いが込められているこのプロジェクトが目指す姿は「先端工芸」。新しい技術を取り入れ、これまで培った技や表現をより一層拡張するための取り組みであり、手仕事だけでも、工業生産だけでも辿り着けない表現を志向している。3Dプリンターを用いたり、普段使わない素材を使ったり、デジタルシュミレーションをつかって造形をしたり。それらと漆器の伝統技法を組み合わせることで、さまざまな漆器そのものの価値の再発見が行われた。
第一弾として15品にわたるプロダクトの試作と、実際にいくつかのプロダクトの製品化を行い、世界最高峰のインテリア&デザインのトレードショーであるパリメゾンエオブジェへの出展も果たした。
漆器と陰翳
陰翳の存在が、光の表情を幾重にも豊かにする。日本人の感性は、眩く輝くような光ではなく、陰翳にこそ光の美を感じ取るのです。光を纏い湛えるかのように深みのある艶を放つ漆器は、光に対する日本の感性を体現する存在です。漆器が持つそんな陰翳の美を、照明として昇華しました。それは、空間に光を与えるのではなく、陰翳を生み出すための照明、つまり日本のあかりです。
紀州漆器産地5社が立ち上げた漆器の新しいブランド、「KISHU+」の第二弾製品シリーズ。
TAKT PROJECTが総合的なデザインディレクションを行い、漆器が持つ陰影への感受性を軸に照明をデザインした。