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684173164「音の伝搬」で創る空間

ユネスコ音楽都市である浜松市のイベント「SOUND DESIGN FESTIVAL in Hamamatsu 2021」の会場構成を担当した。
楽器・音楽の街として知られる浜松市は、2014年12月にユネスコ創造都市ネットワークの音楽分野へ加盟している。これを契機に、音の多様性と創造性の新たな可能性を求め「サウンドデザイン」の可能性に着目した活動を行ってきた。その活動の象徴が「SOUND DESIGN FESTIVAL」である。

2021年のテーマは“音と創るコミュニケーションのカタチ”である。
一見、コミュニケーションは可視化されない事の様だが、「音」のコミュニケーションには、フィジカルな媒介の振動が必ず伴う。同じくフィジカルな展覧会の意味を最大化するため、この「音」特有の物理的な特徴に着目し、糸電話で構成する空間を考えた。会場を円状に囲む7つの階段什器を用意し、最上階に6つずつ糸電話を設置した。それぞれの糸電話をつなぐ最長30mにもなるカラフルな糸は、展示会場のルーフとして幾何的な模様を空中に描き、来場者を迎えるカラフルな風景となっている。糸電話を介して、音によるコミュニケーションを楽しむ人々。ストリートミュージシャンを囲む自然発生的な人の輪のように、階段什器に自然と集い、演奏を楽しむ人々。実際に音が伝わる42本の糸の下で、多様なサウンドデザインを体現する作品を楽しむ人々。

音を楽しむ人々の様々な風景が、糸電話で生まれた円状の会場構成によって、さながらアリーナの様な雰囲気で1つになっていく。それはまさに“音と創るコミュニケーションのカタチ”が空間化したものであり、「音の伝搬」で創られた空間である。

*浜松市の管理の下、十分な新型コロナウイルス予防対策が講じられたイベントです。