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既存の定義を再解釈する

!/F(インターフェイス)は、アイデアを生み出し・検証するためのヤマハ社内の共創スペースである。ヤマハ内にとどまらず、社外の個人や企業と共創するためのインターフェイス(接点)であり、音楽インターフェイスをはじめとした様々な商品・サービスのアイデアを素早く形にし、「体験をプロトタイピング」する場である。「体験」というキーワードから、空間自体も「場」ではなく「道具」のようにより扱う対象となる事を目指した。
素材サンプルやポストイット、ホワイトボードといったこの場所で行なわれる活動に必要な物品を敢えて収納せず、空間を構成する内装材として捉え直し、インテリアとして昇華させる試みを行なった。例えば、ポストイットをタイルのように壁一面に貼付けている。アイデアの議論に必要なポストイットとして、もちろんそのまま利用する事が出来るが、そのカラフルな色が、内装材として楽しくオープンな雰囲気を作り出している事に貢献する。ポストイット壁の前には、4つの大きなホワイトボードを設置した。設置したレールに沿って、横移動だけではなく、回転させる事で裏面も使える様になっており、幾つかのプロジェクトを、同時に平行して進める事が出来る。また、ホワイトボードその物が移動する事で、平面化したアイディアを、つき合わせたり、離したりなど、実体として扱う事が出来る。ホワイトボードを90度回転した位置で固定すると、部屋を緩やかに仕切るパーティションとしても機能する。
この場では、ポストイットは道具であり内装材である。ホワイトボードは道具であり、内装材であり、家具でもある。既存の定義を再解釈し、道具と家具、内装材と道具、場と道具といった境界を曖昧にする事で、空間自体も「場」ではなく時に「道具」のような存在となり、利用者により一層「体験」を促すような仕掛けとなる事を目指した。