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手法をデザインする

陶磁器に描かれた青色の様々な絵柄。その絵柄を表現するために用いられる青色の顔料は"呉須(ゴス)"と呼ばれる。江戸時代初期に、中国より有田にもたされたと考えられている呉須は、素焼きの状態で染め付けるため、その美しい青が色あせることがない。また、同じ配合量でも焼き上げの条件によって多様な青色の表情を生み出す。そんな呉須の美しさを、絵柄ではなく青色の美しさその物として楽しむことは出来ないだろうか。呉須の色味にこだわってうつわ作りを続けてきた副久製陶所と共に、5つの青を見いだし、伝統的染め付け技法"濃み(ダミ)"を用いて、器全体に染め付ける手法を考えた。一様ではない濃みによる筆跡が、呉須の青を、あたかも器の質感のように感じさせてくれる。絵柄を描くという目的から離れ、職人の高い技術と感性で再現される5つの青がもたらすGOSUの表情は、呉須の色味を器の質感として表現する新しい手法自体のデザインである。

焼く事で咲く青い花

磁器に描かれた青色の様々な絵柄。その絵柄を表現するために用いられる青色の顔料は"呉須(ゴス)"と呼ばれる。江戸時代初期に、中国より有田にもたされたと考えられている呉須は、素焼きの状態で染め付けるため、その美しい青が色あせることがない。また、同じ配合量でも焼き上げの条件によって多様な青色の表情を生み出す。そんな呉須の美しさを、絵柄ではなく青色の美しさその物として楽しむことは出来ないだろうか。呉須の色味にこだわってうつわ作りを続けてきた副久製陶所と共に、5つの青を見いだした。また、釉薬がもたらす呉須との化学変化を調整し、呉須が器の表面に流れ出す、本来は避けられる表現にあえて取り込む事で、手仕事で器に定着させた呉須の顔料が、器を焼く事で青い花を咲かせるまったく新しい手法を考案した。それぞれに個性を持ちながらも焼く事でいっせいに咲き揃うその様は、まさに凛とした花そのものである。化学変化で花を描くこの手法は、人間が絵柄を描くこれまでの呉須の役割とは異なる、新しい可能性を見出した手法である。